<薬剤師>ブラッドオレンジジュースとカルシウム拮抗薬の飲み合わせは大丈夫?

薬剤師

先日、知り合いからカルシウム拮抗薬とグレープフルーツは駄目だと聞いたが、ブラッドオレンジジュースとの飲み合わせはどうか?と聞かれましたのでまとめます。

そもそも、カルシウム拮抗薬にグレープフルーツが駄目な理由は?

薬剤師なら知っている話ですが、前提条件として説明します。

カルシウム拮抗薬ですが、CYP3A4という酵素で代謝されます。このCYP3A4ですが、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という物質によって阻害されます。

そのため、グレープフルーツを食べるとカルシウム拮抗薬の分解が遅れて、薬の効果が強くでるため、一緒に飲まないように指導されます。

このフラノクマリン類ですが、全ての柑橘類に含まれているわけではありません。

下記表は、下記の参考文献から引用したもので、種々の柑橘類に含まれているフラノクマリン類の量*を表しています。

*DHBはフラノクマリン類の1種でこれで換算しています。

【参考文献】
Saita T et al. Screening of furanocoumarin derivatives in foods and crude drugs by enzyme-linked immunosorbent assay. Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 2006; 32:693-699.
公益社団法人日本薬学会ホームページ
MediPress ホームページ

上記表を見てもらったらわかるのですが、柑橘類全てにフラノクマリン類が含まれているわけではないことがわかります。また、果実部より皮の方が多く含まれていることもわかります。

では、ブラッドオレンジジュースは大丈夫なのか?

ネット上で調べてみましたが、ずばりというものはでてきませんでした。

そのため、上記の表と植物の系統から考えてみました。

調べてみたところ、ブラッドオレンジはスイートオレンジの品種の一つだそうです。ということは上記の表のスイートオレンジのところが参考になるはずです。

スイートオレンジの果汁に含まれるDHB量は0.01μg/mL、皮に含まれるDHB量は16.0μg/mLです。

カルシウム拮抗薬との相互作用的に食べるのが問題ないとされている日向夏の果汁に含まれるDHB量は0.12μg/mLになります。

そのため、スイートオレンジは食べても問題ないということになります。

そのため、スイートオレンジの品種の一つであるブラッドオレンジも食べていいとうことになると思います。

ただ、皮にはある程度フラノクマリン類が含まれているので、皮ごと絞ったブラッドオレンジジュースは飲まない方がいいと思います。

まとめ

まとめるとネット上ではカルシウム拮抗薬とブラッドオレンジジュースの相互作用に関する記述は探せませんでした。

一方、ブラッドオレンジはスイートオレンジの品種の一つであることから、果汁を絞ったブラッドオレンジジュースは問題ないのではと思います。

ただ、皮には含まれているので皮ごと凍結乾燥させて果実まるごとみたいなものは辞めておいた方がいいかと思います。

※実際の分析データに裏付けられているわけではないので、気になる人は食べないという選択肢をお勧めします。

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