<薬事>ICH-M7とは?アレジオンDSは、古い薬なのに今なぜICH-M7が根拠で回収になったのか?

薬事

エピナスチン塩酸塩ドライシロップ製剤(先発品:アレジオンドライシロップ)を販売している日本ベーリンガーインゲルハイム、沢井製薬、東和薬品、日医工が自主回収を決定したそうです。

アレジオンドライシロップを自主回収(クラスⅡ) 許容限度値超の変異原性物質を確認 日本BIなど4社 | ニュース | ミクスOnline

回収理由は、「日本ベーリンガーインゲルハイムが自主調査を行ったところ、ICH-M7に基づく許容限度値を超える「発がん性が不明の既知の変異原性物質」に分類される可能性のある分解物が確認されたため。」だそうです。

アレジオンですが、錠剤が販売されたのは1994年に販売され、ドライシロップも2004年に販売されている結構古い薬です。

そのため、今のタイミングでなぜ変異原性物質が見つかって回収と思う人もいるかもしれません。

そのため、今日はその辺りを説明したいと思います。

そもそもICH-M7とは?

まず、ICHとはInternational Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)の略称です。

簡単に言うと国際的に規制調和された医薬品の規制になります。

もっと詳しく知りたい人はPMDAのHPを見てください。

ICH 医薬品規制調和国際会議
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

その中でもMはMultidisciplinary:複合領域 (品質・安全性・有効性の複数領域に関わるガイドライン)に関する領域で、その他みたいな区分です。

ちなみに、Qは品質、Sは安全性、Eは有効性の区分です。

ICH-M7は、7番目のM関係の規制ということで、ICH-M7になっています。

内容としては「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」となっています。

内容は、お題のままで製剤中の変異原性物質の評価及び管理が主な内容です。

もっと具体的な内容が知りたい人は原文を読んでみてください。

ICH-M7 潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

なぜ、販売当時にはICHM7のガイドラインにひっかからなかったのか?

これは、簡単な話でICHM7の規制が割と最近の規制だからです。

ICHは、ステップ5になれば、国際的に調和されたことになります。その後、日本で通知が出れば、日本国内でも本格的に適用されます。

ちなみに、ICH-M7がステップ5になったのは2015年です。

この後、日本でもこの規制に対応していくことになるのですが、いきなり全ての医薬品に適用すると混乱を引き起こすので、大抵新しく出た医薬品や治験をした薬が日本では対象になります。

また、ICHM7はもともと新原薬及び新製剤を対象としたものです。

そのため、ICH-M7の場合は「本ガイドラインは、平成 28 年1月 15 日以降に申請される新医薬品の製造販売承認申請(製造販売事項一部変更申請を含む。以下「申請」という。)及び同日以降に届け出られる治験の計画の届出に適用される」となっています。

そのため、アレジオンDSが販売された当初はICH-M7がなかったため、適用されなかったというイメージだと思います。

では、なぜ今回ICH-M7で「発がん性が不明の既知の変異原性物質」が見つかったのか?

これについては、正確なところはカメ夫にはわかりません。

ただ、最近ニザチジンやラニチジンなどでNDMAが検出され、製剤メーカーは自主調査を結構しています。

そのため、その辺の流れで見つかったのかなとカメ夫は思っています。

まとめ

今日は、アレジオンDSの回収で登場したICH-M7に関して紹介しました。

参考になったでしょうか?

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