<薬事>将来的に原薬が入手難になる⁉ その1

薬事

カメ夫の会社ですが、原薬も売っているので、この現実をひしひしと感じています。

ちなみに、この記事を書こうと思ったのは月刊薬事の定期連載の「目からウロコの薬価交渉術」を読んだからです。

カメ夫ですが、全然直接仕事内容はこの連載の内容は関係ないですが、切り口が面白いので会社で回覧で回ってくる際にこの記事だけは読んでいます。薬局や病院の管理薬剤師や経営者などの方はバックナンバーを買っても読む価値はあると思います。

カメ夫
カメ夫

書籍化すれば意外と売れると思うんですが、中々この手の内容は難しいんですかね。

今月号の記事は、コロナによるサプライチェーンの問題とそれによる原薬の供給難に触れていました。

似たような視点になりますが、カメ夫もそれについて書いていこうと思います。

※意外と長くなったので、その1とその2にわけます。

そもそも現時点で国産原薬はかなり減っている!!

原薬とは、医薬品の有効成分を言います。昔なら製剤メーカーが自分で原薬を作って、そのまま製剤化しているイメージがあると思います。

しかし、最近はいわゆるピカ新(ほんとの新薬、言い方が古い?)を除いて、原薬メーカーから購入して製剤化している製剤メーカーが多いです。

そのため、ジェネリックメーカーなどはかなりの原薬を原薬メーカーから購入していますが、最近のメインの調達先は中国やインドになります。

この理由ですが、医療用医薬品は薬価が決まっています。そのため、医薬品メーカーは最大の販売価格がこの薬価になります。そこから、病院、卸の利益を引くと実際の販売価格はかなり低くなります。

ここから医薬品メーカーが利益を上げようとすると下記の3択になります。

  • シェアを伸ばす。
  • 社内の合理化をはかる。
  • 原料のコストを低減する。

普通の医薬品メーカーだとこの3つ全てを行っていきます。

そうすると必然的に安い中国産、インド産の原薬に医薬品メーカーは流れていきます。

それでも有名な原薬は儲かるのではないのか?

一般の人はアセトアミノフェンなんかよく聞く原薬を作れば儲かりそうと思うかもしれません。

ただ、普段皆さんが飲んでいる薬の大部分の成分は賦形剤です。そのため、実際の成分は錠剤の含量の内のごくわずかです。

そのため、

  • 製剤中の含有率が高く、製剤の販売量が多い原薬
  • 単価が高い原薬

しか儲かりません。

2つ目の単価が高い原薬は、ほぼ新薬なので大手が一貫製造で製造するため、原薬メーカーに回ってくることはありません。

1に該当する原薬はあまりないため、ほとんどの原薬は儲からないという現実があります。

これに加えて、年々規制が厳しくなっていき、品質管理に関するコストが上昇しています。

そのため、ほとんどの原薬は儲からなくなっていき、一般の人が知っているような薬に使用されている原薬でもどんどん国内製造から海外製造に移っていっています。

国産の原薬が減ったことによって起こった不正。

どうなるかを表している事例として山本化学工業㈱の不正問題が有名です。

山本化学工業㈱の不正は、承認書に書かれていない手法(中国産の原薬を混ぜてコストを抑えていた!!)でアセトアミノフェンを製造していて、22日間の業務停止命令を受けた事例です。

この事例ですが、山本化学の原薬を使用していた製剤メーカーは製剤の回収にならず、各メーカーの責任者が集められて怒られただけと聞きました。

通常なら回収になっておかしくない事例ですが、カメ夫がそうならなかったと思っている理由は、国産のアセトアミノフェンのシェアを90%以上握っていたからだと思います。

そのため、回収指示を出せば、市場からアセトアミノフェン含有製剤がなくなりパニックになるので、指示を出さなかったのかなと思っています。

カメ夫
カメ夫

同じ不正でも会社によって処分が変わるのは、影響範囲の差と分かっていても理解はできるが納得はできないですよね。

この不正ですが、儲からないから中国産原薬を混ぜていたことに起因しており、国産原薬が減ることにより、正常に品質が保たれなくなる事態が徐々に発生してきております。

ここまでのまとめ

その1で纏まらなかったので、その2を書いていこうと思います。その1は国内では原薬を製造する環境が厳しくなっていっていることについて書いていきましたが、その2はそもそも海外にシェアを奪われたらどうなるかの問題点にもっと焦点をあてて書いていきます。

カメ夫
カメ夫

その1は、割とカメ夫独自の切り口になりますが、その2は「目からウロコの薬価交渉術」の切り口と近いものがあります。ただ、実際にメーカーで働いているからこそ感じる点も書いていきます。

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